0022/01/17

百戦(ひゃくせん)百勝(ひゃくしょう)は善の善なるものにあらざるなり。


孫子曰く、「百戦(ひゃくせん)百勝(ひゃくしょう)は善の善なるものにあらざるなり。戦わずして人の兵を屈(くっ)するは善の善なるものなり。」

私たちは現代医学が可能にした数々の奇跡を自慢しますが、そもそも、救うべき苦境がなければその奇跡には意味がありません。最初から、そのような苦境が生じないことが何よりなのです。

すでに述べた通り、医療が病気との戦争であり、詭道であるということから、その戦力を動かさないですむならそれに越したことはないのです。特にからだにダメージを与える医療行為は、可能なかぎり避けたり、必要最小限にとどめることが一番よいのです。

専門家の治療を全く受けないで健康を保つことが、どんなに非現実的だとしても、理想です。孫子はこの理想に少しでも近づく方法についても教えてくれます。

孫子曰く、「昔の善(よ)く戦う者はまず勝つべからざるをなして、もって敵(てき)の勝つべきを待つ。」

まるで孫子は近年の予防医学の重視への変換を見通していたかのようです。戦いの準備が整えば整うほど、やむを得ず戦う羽目になることは少なくなります。究極的には全く戦わずして敵を破ったり押さえたりできるでしょう。

「汝平和を欲すれば、戦争を準備せよ」ですが、これは武器を積み上げることではなく、戦略を練るということなのです。

0 件のコメント:

コメントを投稿