0022/01/14

兵とは詭道なり。医療もまた然り。


孫子曰く、「兵とは詭道なり。」 これに「医療もまた然り。」と続けたならば、とても信じてもらえないでしょう。

かつてのように医師が全ての決定権を握る時代ではなく、最近の医療はインフォームドコンセントや、患者の満足度や、自己決定権や医療倫理に重点がおかれているので、なおさらそんな言及はおかしいとおっしゃるでしょう。

しかし、冒頭の言葉は、特に専門的な医療サービスにおいては、極めて妥当であると思います。問題は詭道を用いる相手が何かということです。

最高の治療結果を得るためには、医療従事者と患者との間の相互理解が非常に大事です。ですからもちろんここに用いるわけではありません。しかし、両者の共通の敵についてはどうでしょうか。望ましくない健康状態やその原因こそ、詭道を大いに用いて対応すべきものです。

では、なぜ詭道なのでしょう? なぜならばある健康状態について専門的な医療介入(治療)が必要となる時には、その状態が、人間の肉体的、精神的、社会的な問題に対する対処能力を超えているということだからです。その状況を生んでいる原因を無力にするためにも詭道が必要ですし、その原因に対する我々自身の防御機構が過剰反応するのを防いだり、反応が鈍いのを改善するためにも詭道が必要です。

実際、全ての医療行為は、もし資格のないものが実施すれば、即犯罪行為なのです。

戦争で戦う敵と同じように、健康に関する問題の要因もまた我々に対して情け容赦ありません。ですから我々は詭道を用いてそれらと戦わなければならないのです。

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