0022/03/01

孫子が今に生きていたら、予防接種の推進者になるだろう

原文:If Sun Tzu was around Today, He would be a Promoter of Immunisation Programmes


医学的・科学的には、予防接種を行うことでまれに起こる副作用のリスクよりも、感染症による被害や死亡を防ぐ利益の方が大きいとされていますが、世界中の政府は、効果的に予防接種のプログラムを展開することがなかなかできていません。

なかには、予防接種に反対する運動が大変根強いために、特定の予防接種のプログラムだけでなく、予防接種に関する研究開発全体が滞っている国もあります。残念ながら、私の母国である日本も、そのような状況がなければこの分野で非常に大きな貢献ができるはずであり、最も大きな影響を受けている国のひとつです。

予防接種への批判には、古来から伝わる知恵に基づく自然医療・統合医療の立場からのものも少なくありません。これは私の考えですが、体に害をもたらす敵を味方に作り替えて、以前の仲間と戦わせるという考え自体が、直感的な知識に反するからかもしれません。

しかし、最も著名な古来から伝わる知恵のひとつが、予防接種プログラムを全面的に支持するかもしれないのです。

孫子曰く、「必ず敵人の間(かん)の来たりてわれを間(かん)する者を索(もと)め、よりてこれを利し、導(みちび)きてこれを舎(しゃ)す。ゆえに反間(はんかん)は得て用(もち)うべきなり。」

敵のスパイがやってきたならば、これを突き止め、賄賂を与えて懐柔し、仲間から引き離して匿うこと。そして、二重スパイに仕立て上げて大いに利用すべし。病気との戦争である医療もまた詭道なり、という考えを思いついた時、この二重スパイを用いるプロセスは予防接種と全く同じだと思ったのです。

病原体を突き止め、培養する一方で、隔離と封じ込めを行う。そしてそこからワクチンや抗体を作りだし、元の病原体を無力化するのに用いる。

もし、孫子が今の世に生きていたとして、彼が予防接種プログラムの強力な推進者となったとしても、全く不思議はないのではないでしょうか。